国内外に根強いファンを得ている豊田利晃監督の4年ぶりの監督作品、『蘇りの血』が好評だ。歌舞伎や浄瑠璃の演目になっている説話「小栗判官」をモチーフにしたという本作は、人間が世界を支配するはるか以前の時代を舞台にした寓話の世界。地の果てのような場所で出会う男女の強い愛を描くラブストーリーを軸に、人間の再生というテーマがファンタジックに綴られていく。そんな豊田監督の野心作で、主人公に献身的な愛を捧げるヒロインを、草刈正雄の愛娘である草刈麻有が熱演! 豊田組の現場の感想や、女優という仕事についてまで、さまざまな話を聞いた。

■取材・構成・撮影/床板京平(OFFICE NIAGARA)

奥が深い豊田利晃監督の作品がもともと大好きでした!

―― 今回の『蘇りの血』ご出演に関係なく、もともと豊田利晃監督のファンだったそうですね。

はい。豊田監督の作品はどれもとても凝っていて、比較的アンダーグラウンドな世界観が描かれているような気がするので、そこが大好きです。わたしはもともとホラー映画なども平気なタイプで、小さいころからかなり観ていたので、ちょっと怖いシーンがあっても大丈夫ですね(笑)。

 ―― 今回の『蘇りの血』については、鑑賞された後にどんなご感想をお持ちになりましたか?

観ていてドキドキする感じが楽しいというか、わたしはハッピーエンドの作品よりも、ちょっと考えさせられて、奥が深い映画のほうが好きですね。『蘇りの血』も少し難しくて、なんともいえない感じがいいです。自分が出ていますが、難しい映画だと思いました(笑)。考えるよりは、感じる映画ですよね。主人公オグリのことを想い、いざり車を引いているシーンが印象的でした。

 ―― そのいざり車を引いているシーンは、どんなことを考えながら演じていたのでしょうか?

何も考えていない――というわけじゃないですけど(笑)、ただ、オグリを助けたい一心で、そういうこと想いながら演じていました。テルテ姫の役の気持ちのままですね。オグリに対する一途な気持ちを意識して、ただ一生懸命にいざり車を引きました。そんな印象です。でも、わたしは力には自信があったのですが、道が舗装されているわけじゃないのですごく重かったです(笑)。

一途なテルテ姫は自分で言うのもアレですが、似ています(笑)

 ―― ところで、豊田利晃監督のイメージですが、出会われた前と後では印象が違いましたか?

少し違いました。作品が凝っているので、細かくたくさんの演技指導があると思っていましたが、全然違って、自由にそのままでいいよと言われてビックリしました。動きなどで細かい演出はありましたが、わりと自分が思い描いていたままでしたね。いろいろと言ってくださる場合もありがたいですが、豊田監督はテルテ姫のことに対してはお任せだったので、やりやすかったですね。

 ―― 意外な気もしますが、豊田監督の言葉のなかで印象に残っているフレーズはありますか?

「そのままで大丈夫です」、みたいな優しい言葉が印象に残っています(笑)。いままでの現場では厳しかったというか、まず気持ちの説明をしっかりと受けて、その場合はそれに合う動きをするという細かい説明がありましたが、『蘇りの血』ではなかった。わたしはそれほど経験があるわけじゃないですが、比べると今までは細かい指示が多かった。豊田監督はまるで違いましたね。

 ―― 先ほどテルテ姫を一途な女性と言われましたが、どういう女性と理解して演じましたか?

彼女は純粋な女の子で、何も傷がないというか、本当に純粋な気持ちを持っている。まったくけがれていない子です。大王に囚われたまま、言われたとおりのことをやっていたけれど、そこにオグリがきて、このままじゃよくないと告げられる。そこで初めて自分の意思が芽生えていきます。一途な気持ちの彼女は、自分でも言うのもあれですが、とても似ているなあと思いました(笑)。

大勢の人たちと時間をかけて作る映画の現場が好きです

 ―― テルテ姫と同じように、草刈さんご自身も仕事や人間関係に対して一途なのでしょうか?

何でもです(笑)。昔から1個のものごとに集中します。あれこれ同時にしないです。両親が厳しかったわけではないですが、1個のことしか見えないタイプです。もちろん恋愛も一途(笑)。『蘇りの血』のお話は現実的じゃないですが、テルテ姫はわたしと似ています。逆に今度は自分と違う役を演じてみたい。絶対楽しいと思います。正反対の人間になるのって、面白そうですね。

 ―― そんな演じるという仕事の魅力についてですが、草刈さんはどういう瞬間に感じますか?

映画は話し合いがあって、大勢の人たちと作っている感じがします。そうやって作品が残る。時間をかけて作っているので、自分で観ていて本当に感動しますね。

 ―― 最後になりますが、『蘇りの血』出演を経て、草刈さんの今後の抱負をお聞かせください。

この先も、もっともっと映画をやりたいです。『蘇りの血』よりも、もっと難しい映画をやりたいですね(笑)。奥が深い映画は、やりがいがあると思います。普段、映画を観終わってから、感想がよくわからない感じになることが大好きで(笑)、最近は自分なりに答えを見つけたり、考えるようにして映画を楽しんでいます。たくさん映画に出られるように頑張りたいと思います。

 

プロフィール
草刈麻有(テルテ姫 役)

1993年4月20日生。東京都出身。「東京少女 セピア編~入れ替わり少女~」(BS-TBS 07)で女優デビューを果たす。「3年B組金八先生」(TBS系 07年~08年)にレギュラー出演後、再び「東京少女 草刈麻有」(BS-TBS 08年)で連続ドラマ初主演を飾る。また映画では、『0093 女王陛下の草刈正雄』(07)で、実父の草刈正雄と親子共演を果たしたことでも話題に。『蘇りの血』が公開された2009年は雑誌「セブンティーン」専属モデルとして活動したほか、「クレアラシル」「エステー」のテレビCMにも出演するなど、次世代を担う若手女優として大活躍中。そのほかの出演作に、「プリズナー」(WOWOW 08)、「探偵Xからの挑戦状」(NHK 09)、「おひとりさま」(09)など。

■草刈麻有公式サイト:http://www.blooming-net.com/agency/blog_info/kusakarimayuu/
■草刈麻有公式ブログ:http://ameblo.jp/kusakarimayuu

 

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作品情報

『蘇りの血』

■公開表記:2009年12月19日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開中。

■コピーライト:(C) 「蘇りの血」製作委員会

■配給:ファントム・フィルム