
いま明かされる、サービスエリアの本当の魅力。ふかわりょうの「サービスエリアに対する情熱」が生んだ、奇跡のサービスエリア・バラエティがDVDで登場! 「趣味はサービスエリア巡り」と公言するふかわさんをナビゲーターに、談合坂、初狩、海老名といった人気SAを紹介。
こう書くと、よくあるTVの旅バラエティを連想するが…これが見てビックリ! ヴィム・ヴェンダースもかくやの私小説的ロードムービーとなっていて、現代日本の空気を見事にカットアップ。クリエイター・ふかわりょうの鋭い観察眼と卓越したセンスが1本の映像作品として結実。
DVDの可能性に挑戦し、映像作家としての可能性を拓いた、ふかわさんにお話をうかがいました。
(取材・構成/高山リョウ)
よくある旅番組と思いきや…
――これは、ふかわさんがVJをされていた「MUSIC ON! TV」の番組のDVD化ですか?
いえ、撮り下ろしの作品です。制作はその時の番組スタッフですけど、番組の総集編的なDVDではないですね。
――では一緒に番組をやってたメンツで、何か新しいものを作ろうと?
そうですね。わりと感性の近い人たちの集まりで、民放の地上波と違って少人数でやっている番組だったので、チームワークが良くて。また僕がやりたいと思っていたことができる、自由度みたいなものも高かったので。
――ふかわさんがサービスエリア(以下SA)巡りをするDVDということで、見る前はTVの旅番組的なものを予想していたのですが…1枚、フィクションのフィルターがかかっていて、出てくるのはふかわさん演じるフルカワトオルというキャラクターですね。
あのフルカワさんは、僕を2ミリほどズラした人物で、基本、僕なんですけど、ちょっとDVD用に誇張したというか。黒ブチのメガネかけて、ちょっと近寄りがたい空気感出しつつ。
――ちょっとオタク的で危ない人ですよね。2ミリのズレでそんなに変わりますか?
2ミリとはいえ、そこにはやっぱり2ミリのズラし感が生まれます。そのひとつがメガネだったりするんですけど、メガネをかけることによって単にビジュアル面だけでなく、やっぱり精神的にもちょっとズラすことができる。だから今回の作品に出てくるのが、ふかわりょうではなくフルカワトオルというのは、この作品はあくまでフィクションだということですね。
――ふかわりょうとは別人のフルカワトオル。サービスエリアおたくという設定ですが、今の20~30代の日本人の特徴をすごくよく捉えたキャラクターですよね。
あ、そうですか?そう言ってもらえると嬉しいですけど。
――多くの人はサービスエリアに特別な思い入れとか持っていないじゃないですか?
でもフルカワさんは同行スタッフに上から目線で、あたかも常識のようにサービスエリアのうんちくを語って。自分だけの常識を一般常識のように思い込んでいて…
まあSAに限らず、そういう自分語りが好きな奴いるよなと思いながら、キャラクターを作ってはいきましたね。
――フルカワさんの自己完結ぶりがすごいリアルで。最近はおたくに限らず、自己完結して他人とコミュニケーションがとれない若い人ってすごく増えていると思うのですが、そういう人たちに特徴的な言葉遣いが随所にちりばめられていて…ふかわさんの観察眼にビックリしました。
そうですか、ありがとうございます。特別そういう所に配慮したわけではないですけど。
――本当ですか? 一言一句、計算ずくかと。
(笑)まあ、計算してないわけじゃないんですけど、そんな風に評価されるとは思わなかったですねえ。あくまで、もともとのベースは「くだらないドキュメント風のDVD作りたいなあ」ってことですから。
いつか映画を撮りたいと思っていた 。
ただ、くだらないものっていうのは、中身のないものってことではないので。僕はやっぱり、中身のあるくだらないものを作りたいなあと思っていて。
――SAを巡りつつ、ロードムービー的にフルカワさんの心理描写、心の成長が描かれていきますよね。
基本的には子供なんですよね、あの人。大人になれていないというか、なんにも成長してないんですよ。決して悪い人ではないけど、生きるのに不器用。周りが変化していくのに、心がついていけてない。自分の思い通りにならない現実から目を背けている。
――今や人気の観光スポットとなった海老名SAを認めようとしなかったり(笑)。
具体的には、そういうしょうもないディテールなんですけどね(笑)。でもSAという舞台を設定して、その中で、一人の人間が現実と向き合うまでのしょうもない数日間を描いているとは思います。
――ある種ヴィム・ヴェンダース的なロードムービーに。
……そんな言葉を出したらねえ、大変ですけど。
――でもジャンル的には映画が扱う題材ですよね?
今回の作品は見る人によって好き嫌いは大きく分かれると思うし、感想もひとりひとり違うと思います。笑わせたいのか、感動させたいのか…それはもう見た人のコンディション次第というか、視聴者のみなさんにゆだねています。でもやっぱり「いつか映画を撮りたい」という思いはどこか僕の中にありましたね。
――それは以前から?
そうですね。だから結果的に長年の思いが、今回のDVDのお話をいただいてブワーッと出てしまった感じですね。やっている途中で「あ、これは映画を撮っているな」というか―予算や規模の違いはありますけど―DVDを作りつつも映画を撮っている感覚はありましたね。
――企画、構成、脚本ほか全部をふかわさんが?
もうなんか、気付いたら台本を書いていて、気付いたら音楽を作っていて…みたいな。でもそれはやっぱり、番組をやっていた環境があったからなんですよね。番組のチームが段取りをつけてくれたから、僕もそのモードに入ることができた。何の前提もなしにDVDの話が来ても、たぶんこうはならなかったと思います。
――番組をやって、話の通じるスタッフと出会って…そしてベストのタイミングでDVDのオファーが来た?
結果的にはそうなりますね。僕、自分がイメージしているものを作品にするには、3~4個ハードル超えないと無理だと思っていたんです。「ドキュメントタッチで…」「なんか映画みたいな感じで…」とか(笑)、いろいろ説明してもなかなか理解してもらえないだろうなって。
――たしかに説明も難しいし、似た作品もなさそうですしね。
でもそれが「え? 本当にいいんですか!?」ってくらい、みんなスムーズに受け入れてくれて。何も見ていないのに、言葉で伝えただけで、みんな同じようなイメージが浮かんでいたみたいで。
――トントン拍子で話が進んだ。
僕の考えを理解してくれる人たちがいる、本当に恵まれた環境だったと思います。またDVDだからこそ実現できた部分もあるでしょうね。これが映画となると、いろんな人たちのいろんな意見が出てくるだろうから…
――関わる人数が増えると口出しする人も増えて、つまらない作品になることが多いですよね。
これはホントもう、7人くらいで作ったので(笑)僕の世界観を自由に表現することができたと思います。大規模・大予算の映画ではなく、DVDだからこそ出せたテイストがあると思っています。今まで誰もやらなかったものを作った自負はありますね。
DVDだから表現できた「ふかわりょう」
――“ROCKETMAN”名義でサウンドクリエイターとしても活動中のふかわさん。先ほども少し話に出ましたが、今回DVDのテーマ曲も作曲。その良質なテクノサウンドに驚く人も多いかと。
ふかわりょうは知ってるけどROCKETMANを知らない人は当然いっぱいいるので、ああ、いろんな事やってんだって思ってもらえれば嬉しいです。
――また特典封入には、フルカワさん考案の「アメリカンドッグのケチャップのかけ方66」をレイアウトしたポスターが。これもふかわさんらしいくだらない世界をうまくポップアートな感じに仕上がっていて。
アメリカンドッグなんて、サービスエリアぐらいでしか食べないですからね(笑)。ケチャップのかけ方集は小ネタなので、映像本編ではチラッとしか登場しませんけど、DVDは特典を付けられるから、こういう形で表現してみました。結果的にですけど、音楽にせよポスターにせよ、DVDだからこそできた仕事は多いですね。
――TVで見るふかわさんとは、ずいぶんイメージ違いますよね。クリエイター的仕事というか。
当然TVはTVで真実なんですけど、でも僕はまた別の角度で見ると違う色が見えてきたりもするので。現状、いろいろと手を広げすぎて、自分の全活動を網羅できてる場所がないんですよ。公式ホームページでカバーしようとしても、追いつけてない。なので今回、お笑い、映像、音楽、脚本…いろんな要素を、結果的にひとつのDVD作品にまとめることがきて良かったです。
――オンエアの総集編ではない、文字通りマルチメディアとしてのDVD企画。
僕自身、SAに対する興味もあったので、TVの旅番組的なソフトを作ることもできたんですよ。どう考えてもそっちの方がラクだし、わかりやすいし。でもお話をいただいた時、せっかくDVDというフィールドを与えられたんだから、そこでできる最大限のものを作ろうと思ったんです。――面倒とわかっていても、こだわってしまう。 そのへんはフルカワさんと一緒で不器用だなと、自分でも思いますね(笑)。テキトーにやればいいのにって時でも、テキトーにやれない自分がいる。しんどくなることもあるんですけど、DVDに限らず何かを作る時って、憑依されてるというか、取り憑かれたように取り組みますね。「よくこんなの作ったな…」って終わってから思いますね。自分で自分ホメるとかじゃなくて。
――自分がやったとは思えない、他人事のような感覚が。
そうなんですよね。「オレ、どんな気持ちでこれやってたんだろう?」っていう。「あん時のオレ、どうかしてたよな」って。
――作品中、フルカワさんのテンションが異様なのも、そのせいですか?
(苦笑)まあ、でも「2ミリのズレ」ですからねえ。たぶん、もともと僕の持ってる不可解さもあると思いますよ。もしかしたら、リアルの僕の方がもっと不可解な可能性もある。わからないですけど。
プロフィール
ふかわりょう
1974年神奈川県出身。ラジオ「ROCKETMAN SHOW!!」(J-WAVE)、テレビ「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中」(NTV)、「音楽ば~か」(TX)など、メルマガ「週刊ふかわ」(WE!モバイルメールマガジン)他、多ジャンルで幅広く活躍。公式ホームページ「Happy
NOTE」(http://www.happynote.jp/)。
バックナンバー
- 2009.10.29 DVD『アーガイルの憂鬱 ~サービスエリアを愛した男~』 ふかわりょうさんインタビュー
- 2009.10.26 『余命1ヶ月の花嫁』榮倉奈々さんインタビュー
- 2009.10.19 DVD『とっておき寄席!』古今亭志ん輔師匠インタビュー
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