
いま、若手実力派俳優の柄本時生が激アツだ。2009年だけでも、『誰も守ってくれない』『ガマの油』『スラッカーズ』『いけちゃんとぼく』『蟹工船』『ぼくの、好きなひと』と6本の映画に出演。名だたる人気監督たちの現場で存在感あふれる演技を披露してきた。『スラッカーズ』DVD発売を機に大注目の柄本時生に迫ります!
(取材・構成・撮影/床板京平)
兄弟そろって、どんなジャンルでも観る映画マニア!
――そうとうな映画マニアだそうですね。どんなジャンルがお好きですか?
映画は大好きです。ジャンルは関係ないですね。たとえば、僕はいま任侠映画にハマッていて、マキノ雅弘監督の『次郎長三国志』シリーズを観ているところです。『次郎長三国志』シリーズはDVDが出ていないので、俳優の西島秀俊さんがたまたま持っていたので、お借りしています(笑)。迫力あるチャンバラ活劇だけでなく、文句、口上を切るところが、めちゃくちゃかっこいいです! 昔の映画ですが、異様にゾクゾクしますよね(笑)
―― 実兄の柄本佑さんもそうとうな映画マニアだという話を聞いています。
はい。兄ちゃんは小学校4年生のころから、シブシネ(渋東シネタワーの略)に通っているほどの映画好きで、親父(柄本明)にお小遣いをもらっては、よく観に行っていた記憶がありますね。映画マニアといっても、偏った趣味をしているわけではなくて、ジャッキー・チェン映画などをも普通に観ますよ、一時期、ジェット・リーにハマッていた時期がありまして(笑)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」を全部観ました。
男だらけの撮影現場だったので、話すことはシモネタ
―― ところで、『スラッカーズ』は新しい柄本さんの一面が観られました!
ありがとうございます(笑)。映画としての感想は、カッコいいの一言ですね(笑)。とくに乱闘シーンが大好きで、すごいカッコいい! 僕自身は、そのシーンには全然関係ないのですが(笑)。クランクインする前は、楽しそうだって思いましたし、実際演じていても楽しかったですし、小学校から野球をやっていて好きなので、野球が映画でできることが、一番うれしかったことですね。とてもいい想い出が残せた記念作になりましたね。
――
血気盛んな男たちが大勢出演していますが、現場は楽しかったですか?
はい(笑)。本当に男だらけの撮影現場だったので、そうなってくると、話すことはシモネタしかなかったですね(笑)。僕は出演者の中で一番年下だったので、気負うこともなく、楽しかったですよ。僕は兄ちゃんが初主演した『美しい夏キリシマ』で、その撮影現場に初めて行ってわくわくしましたが、その頃からわくわくする気持ちは変わりませんね。今回は、とりあえずセリフだけは覚えて現場に行って、あとは楽しもうと思いました。
―― また、村松正浩監督から役を演じる上でのリクエストはありましたか?
大きなところではなかったような気がしますね。監督はどう考えていたのかな(笑)。ただ、コンセプトとしては、ようやく野球チームが出来上がったところまでのストーリーで、山内高校がちゃんとしていくというストーリーを描いているので、その過程を見せようということになっていたと思います。監督さんによって演出の仕方はまったく違うので、毎回そういうことに意識が向いていないかもしれないです。僕はただ演じるだけなので。
兄ちゃんが大好き。ブラコンと言われても仕方がない
―― 『スラッカーズ』を観た、ご家族の反応はいかがだったのでしょうか?
親父と和枝ちゃん(角替和枝)が映画館に観に行ってくれました。感想は「ちゃんと終わっていない」映画だと(笑)。あとは、「お金がないなぁ」とか(笑)。親父はいろいろと言ってくれましたね。いや、悪い意味ではなく、いい意味で言ってくれました。もともと、家族の間には映画の話しかない(笑)。話題が映画しかない家庭(笑)。近況報告だけではなく、「いま池袋の文芸座で高倉健特集やってるぞ! 観に行かなくちゃ」とか。
――
元来、ご自身が俳優になる土壌は整っていたと考えてよさそうですね?
いやぁ、そうなんですかねぇ(笑)。でも、僕は小さいころは、プロ野球選手になりたかった。何を血迷ったか俳優の道に進み、現在に至っています。ただ、兄ちゃんが初主演した『美しい夏キリシマ』に出演したときに撮影現場に行って、そこで見学していて楽しそうだなって思ったこことが、始まりかもしれないです。それからしばらく時間が流れて、オーディションの話が来て、受けて――。いま思えば、自然の流れがあった気がします。
―― ブラコンだそうで(笑)、お兄さんの影響が強い背景がありそうです!
そうですね(笑)。兄ちゃんが大好きなので、ブラコンと言われても仕方がないですね。ただ、兄ちゃんが出演している作品に影響されたから、とか、そういうことではないです。小さいころからお兄ちゃん子でしたが、2人で遊ぶとか、そういうことでもない。なんかね(笑)。好きなことは好き、それだけのことだと思います。いまは同じ仕事なので、仕事の話をよくしています。今度、「あの監督と仕事するよ」とか、共通の話題ですね。
俳優って言ったところで仕事がなければただのニート
―― 俳優一家で暮らしていて、演技に対するアドバイスなどを受けたりは?
ありますよ。よく親父に言われているのが、「客は敵だと思え!」です。ずっと言われ続けています。「一歩でも客に近づいたら殺す」とまで言われています(笑)。だから、メッセージなどを考えられないわけですよ。言葉の意味はともかく、何かを伝いたいって考えないし、考えないようにしています。そんなことよりも、俳優にはやるべきことがあるような気がします。そもそも、映画は監督のものなので、僕らはついて行くだけですし。
――
また、同業の、俳優仲間と演技論などを闘わせたりするのでしょうか?
演技論を朝まで闘わすということは、どうなのかな――。自分ではしていないと思います。仕事の話自体、あまりしていないかもですね。俳優をしていても芸能人という感覚はまったくないので、いつかきれいな女優さんと共演したいって一般人みたいな感覚でいます(笑)。たくさんきれいな女優さんがいるじゃないですか(笑)。僕だってモテたいと思うし、そうなりたいと思うことは普通。もし女優と付き合えたら、もう自慢ですよ(笑)
――最後に、俳優・柄本時生としての今後の夢や目標をお聞きしたいです。!
目標とかはないですね(笑)。好きな俳優や憧れている人はいますけれど、自分には無理ってなっちゃうので、具体的にどうなりたいってないですね。僕にも欲がありますし、無欲ではない。無欲でいたいと思うほど、欲深くはないです(笑)。この仕事が社会に役立つかどうかと聞かれたら、あまり役に立たない気がします。好きなことをやっているだけで。俳優って言ったって、仕事がなければただのニート(笑)。まだまだこれからです。
プロフィール
柄本時生(十夢 役)
1989年10月17日生。東京都出身。2003年、『Jam Films S(エス)』(04)の一遍、「すべり台」のオーディションに合格して俳優デビュー。以降、映画にとどまらず、ドラマ、舞台、CMと活躍の場を広げ、2008年の出演作品によって、第2回松本CINEMAセレクト・アワードで最優秀俳優賞を受賞。今後の公開待機作は、『ハチミツドロップス』(河合勇人監督)『ワカラナイ』(小林政広監督)『アフロにした、暁には』(藤村享平監督)など。
バックナンバー
- 2009.8.17 『スラッカーズ』柄本時生さん単独インタビュー
- 2009.8.14 雑誌HiVi編集長 泉哲也さんに聞く ~素晴らしきブルーレイの世界~
- 2009.8.5 『蟹工船』SABU監督単独インタビュー
- 2009.7.28 DVD『とっておき寄席!』三遊亭歌武蔵師匠インタビュー
- 2009.7.23 「海から見た、ニッポン 坂口憲二の日本列島サーフィン紀行 最終章」坂口憲二さん単独インタビュー
- 2009.7.23 『ガマの油』『キミに歌ったラブソング』二階堂ふみさん単独インタビュー
- 2009.7.17 推薦DVD『奄美 ティダぬ島 唄ぬ島』発売記念 中孝介さんインタビュー
- 2009.7.15 『完全適当版 高田純次のアイドルを探せ!~ケメ子は何処に!~』高田純次さん単独インタビュー
- 2009.7.10 最新CD「三遊亭円丈落語コレクション 8th.」リリース三遊亭円丈師匠インタビュー
- 2009.7.08 『築城せよ!』海老瀬はな単独インタビュー
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