戦乱の世のサムライたちの霊が突如現代の田舎街によみがえり、驚く現代人を巻き込みながら廃材のダンボールで城を建てようとする奇想天外なドラマ『築城せよ!』。歌舞伎俳優・片岡愛之助が演じる築城計画を推し進める武将に影響され、城作りに参加するヒロインを実力派若手女優の海老瀬はなが好演。さまざまな話を聞いた。(取材・構成・撮影/床板京平)

“ナツキっぽいね”って言われて、うれしかったです


―― サムライがよみがえってダンボール城を作るストーリーがすごいです!

最初に脚本をいただいたときは“時代劇?”って思いました(笑)。それと、昔の武将の霊がよみがえるストーリー自体はよくありますが、霊がよみがえって城を作る、しかもダンボールで作るというのが奇想天外なストーリーですよね!  ただ、本当に魅力的でおもしろい脚本に仕上がっていましたので、これが映像になったらどうなるんだろう? って撮影中も思っていました。わたしが演じた井原ナツキもすごい魅力的な女性に思いました。

―― 今回のヒロイン、井原ナツキという女性を演じてみていかがでしたか?

自分に性格が近いという理由もありますが、演じやすかったです。負けず嫌いでちょっと姉御肌。最初はお父さんを返してほしい気持ちだけですが、やがて先頭に立って築城を指揮したりして巻き込まれていきます(笑)。前向きで全力投球なところや、サバサバしているところ。一生懸命だけれど、器用じゃない。放っておけないような、みんなが手助けしてあげたくなるような、そんな女の子像が、わたしにとっては魅力的に映りましたね。

―― 演技に集中するあまり、性格が変わったなと思う瞬間はありましたか?

自分自身ではわかりませんが、スタッフさんやキャストのみなさんから言ってもらうことがありました。いまのナツキっぽいね、って(笑)。どんな瞬間か自分ではわからないけれど、そういうことが日々あって、言われることが自分でもうれしかったりするんです。40日間愛知県で撮影していて、寮に住み、食堂でゴハンを食べ、学校の中を歩いたりして、だんだんと映画の世界に溶け込んでいったからだと思います。それは大きかったです!

片岡愛之助さんはすごい気さくなかたで感謝してます


―― ところで、完成した『築城せよ!』をご覧になった感想はいかがです?

まだ、全然、客観的に物語としては観られないので、撮影中のことを思い出したり、自分の演技が気になったりしちゃうのですが、ただ、撮影現場にあった約25メートルほどのお城のスケール感が、そのまま映像にもキレイに残っていて、うれしかったですね!  最初で自分が撮影現場でお城を観たときと同じ感動が感じられました。最初は石垣しかない状態で、お城は順撮りでしかいけないので、撮影しながら横で見ていたので感動しました。

―― そういえば、最近は城などにまつわる歴史ブームがあるみたいですね!

歴女、歴ドルって、すごい流行っているみたいです(笑)。わたしはそれほど関心がなかったのですが、今回の映画に出たことで多少なりとも変化があったと思います。今回の古波津(陽)監督がいろいろなお城を観て回ったらしく、それでかなり詳しくなったみたいですよ。日本のお城、世界のお城について知識が増えていて、毎日みんなで詳しくなっていきました。助監督さんがイラストとメモでいろいろと書いてくれて見せてくれました。

―― また、今回主人公を演じた片岡愛之助さんとの共演はいかがでしたか?

最初は歌舞伎や舞台のイメージしかなかったので、すごい別世界の人じゃないですけれど、近寄りがたいような雰囲気はありました(笑)。でも、実際に現場でお会いしたらすごい優しく気さくに接してくれまして、いつも気持ちを和ませてくれたり、全然印象が違いました。本当に一歩現場から離れて、カメラが回っていないところだと気さくなかたで、すごい助けられました。舞台のイメージのままだったらどうしようって思いました(笑)

自分が感じたことを、細かいレベルまで伝えたい――

―― そもそも、女優という仕事は、いつぐらいから目指し始めたのですか?

もともと、誰かを具体的に目指していたわけではなく、幼稚園の頃か小学生の頃に思い立ったんです。おそらく安達祐実さんの「家なき子」などを観て、同い年ぐらいの子があんなことをしていると思い、うらやましいなと思い始めたのが最初(笑)。ただ、恥ずかしがりやだったのか、親にも友だちにも夢を話したことがなく、密かにずっとやりたいと思っていました。中学、高校生の頃にオーディションを受けたいと思い始めたと思います。

―― 夢だった世界に現実に入って、イメージとは違うなって思ったことは?

映画の撮影は全工程の1割程度だということを教えていただき、毎回ハッとするようなことが多いです。まだまだ知らないことが多いですし、深い世界だなって思いました。もっともっと知りたいし、大変さなんて、まだまだだと思うんです。スタッフや監督、製作のプロモーションなども含めて、ほとんどわかっていないことが多いので、奥深く踏み込めばもっと発見があると思います。いまは現場に恵まれていますので、努力したいですね。

―― 最後に海老瀬さんの今後の抱負や目標などをうかがってもいいですか?

わたしはいま目の前の作品でいっぱいいっぱいなので、大きな目標が出てこない~!(笑)。でも、自分が演じている作品で、役の気持ちや状況を理解して、しっかりと伝えたいと思います。自分が思っていることを、細かいところまで伝えられるようになりたいです。遊び心がある現場ならとことん楽しみ、バランスを大事にしていきながら、たとえば、わたしが最初に脚本を読んだときの感動を、そのまま伝えられる女優でありたいですね。

 

プロフィール

海老瀬はな(井原ナツキ 役)

1985年12月9日生。京都府出身。幼い頃から女優に憧れ、2005年、松竹が創業110年を記念して行なった女優発掘オーディション「松竹STAR GATE」において、グランプリを受賞。翌2006年8月に公開された、『釣りバカ日誌17 あとは能登なれ ハマとなれ!』で見事スクリーンデビューを果たす。以降は、映画、TVドラマと活躍中。そのほかの出演作に『犬と私の10の約束』(08)、『ハッピーフライト』(08)など。本作ではヒロイン役を好演した。

バックナンバー

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作品紹介

築城せよ!

監督・脚本: 古波津陽
出演:片岡愛之助、海老瀬はな、江守徹、阿藤快、藤田朋子、津村鷹志、木津誠之、ふせえり