担当している雑誌が休刊になった雑誌編集長のOLが、まだ見ぬ実の父親の存在を知ったことで、さまざまな不思議な出来事に遭遇していく異色コメディ・ドラマ『インスタント沼』。三木聡監督独特のシュールでバカバカしい世界観が炸裂するなか、ジリ貧ヒロインを麻生久美子が好演。三木作品の感想や自身のことを語ってくれた。(取材・構成/床板京平)

希望も持てる作品。女性なら共感してもらえるはず!

―― 最初に完成した映画を観たときどのような感想や印象を持ちましたか?

今回の『インスタント沼』は、簡単にいうとヒロインの成長を描くコメディです。ジリ貧のヒロインですが、それがおかしいだけではない不思議な映画だと思いました。最後まで気持ちよく笑えて、あっという間に時間が過ぎてゆく感じが心地よかったですね。すごい希望も持てる作品なので、女性なら共感してもらえると思います。

―― ヒロイン・沈丁花ハナメを演じるために、どんな工夫をされましたか?

三木監督との仕事なので「時効警察」の三日月しずかにならないように気をつけました。どうしても重なる部分が出てくるとしても、何か違ったアプローチがあるはずと思いました。リハーサル、本番を何回か繰り返しているうちに、それが気にならないほど三日月しずかとは違う方向性が見えてきたので、ちょっと安心しましたね。

みなさんに新しい引き出しを増やしていただきました

―― 三木監督の「時効警察」でコメディ作品の難しさは体験済みですよね?

コメディは大好きですが、すごい難しい。一番難しいかも!(笑)。人を笑わせることって大変な作業なんです。「時効警察」の頃はコメディがどういうものかわかりませんでしたが、続編の「帰ってきた時効警察」の頃には理解していたつもりです。三木監督をはじめ、みなさんに新しい引き出しを増やしていただいたと思います。

―― デビューの頃は、現在の引き出しの多いご自身を想像していましたか?

全然です(笑)。『カンゾー先生』をはじめ、いい機会を与えていただいたことはわかっていましたが、とにかく演技することが辛くて(笑)。ただその後に『ひまわり』という作品に出会って、ようやく演技が楽しいと思えるようになったんです。それまでの貴重な経験がプラスに転じた瞬間が訪れたのかもしれませんね。

真剣に作っているから、コメディはおもしろくなる!

――コメディ作品を通じて観ている人を楽しませるポイントとは何ですか?

演じている自分が楽しむことも大切ですが、度が過ぎるとよくないと思います。いままでさまざまな人と出会って、新しい経験をたくさんさせていただきましたが、コメディの制作現場の裏側はとにかくいつも真剣!  『インスタント沼』はタイトルはユルめですが(笑)、みんなが真剣に作っているのでおもしろくなるんですよね。

―― 今後の麻生さんにとっての目標や課題などをお聞きしてもいいですか?

このお仕事はやりたいことがあっても自分1人では何もできないんです。ただ、仕事になれば、いろいろな努力やアイデアを試すことができます。だから具体的な課題はないのですが、1回1回の仕事の中で目標や課題を見つけてクリアしていくのかな。ときに間違ってもいいと思うので、新しいことに意欲的にチャレンジしたいです。


『インスタント沼』は5月23日(土)、テアトル新宿、渋谷HUMAXシネマほか全国ロードショー。

 

プロフィール

麻生久美子(沈丁花ハナメ 役)

1978年生。千葉県出身。1995年デビュー。1998年、今村昌平監督作品の『カンゾー先生』のヒロイン役を好演して、一気に注目を集める。三木聡監督とはTVドラマの「時効警察」(06)でタッグを組み、コミカルな演技で新境地を開拓した。『ハーフェズ ペルシャの詩(うた)』(07)では海外映画に進出。 現在公開中の作品に、『おと・な・り』がある。

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