
謎の生物と人類が繰り広げるハイテンション・バトルを描くSFパニック超大作『D-WARS ディー・ウォーズ』。現代のロサンゼルスを舞台に往年の怪獣映画を思わせる世界を構築したのは、韓国の異才監督シム・ヒョンレ。アーノルド・シュワルツェネッガー知事に直訴して撮影許可をゲットするなど衝撃的な裏話の数々が満載です!(取材・構成・撮影/床板京平)
仕事をしないスタッフの代わりに、自分で撮影許可を直訴して認めてもらった――
――なんでもロサンゼルス市街でロケをするために、シュワルツェネッガー知事に直訴したとか?
はい。じつは市長にも手紙を送りました。これにはいろいろな経緯がありまして、一般に撮影をするときにはロケーション・マネージャーという役割の仕事をするスタッフがいて、重要な役割を担っています。ロケハンをした後に、撮影の許可を取得する仕事をする係なんですね。映画製作にとって、非常に大切な仕事なんですよ。
――そのロケーション・マネージャーが知事や市長に手紙を送ったということでしょうか?
いえ。そのロケーション・マネージャーは撮影の許可を取ることを勝手に諦めてしまっていたんです。撮影が翌日になっても許可は取れないだろうと言っていました。彼の言い分は、どうしてこのダウンタウンを封鎖できるのかと。交通渋滞も起こるし、4キロを封鎖するのは大変なことだと。勝手に決めつけて、諦めていたんです。
――なるほど。それで、スタンドプレーを披露した彼の代わりに直訴するしか方法がなかったと?
私は彼に“家に帰れ”とクビにしてしまいました(笑)。スタッフは256人いましたが、ロケーション・マネージャーはもっとも重要な仕事と言ってもいいぐらいです。しかし、私は彼のクビを切ってしまったので、自分で連絡する以外に方法がなくなってしまったんです。だから、直訴という手段で手紙を送ったというわけです。
一時は現地スタッフごと入れ替えてしまおうかと思ったほど、居心地が悪かった――
――しかし、突然のスタッフ解雇や直訴など、ずいぶんと思い切った解決手段を採られましたね。
でも、“映画の国のハリウッドが、ここで『D-WARS ディー・ウォーズ』を撮らせてくれないとは何事かっ!”みたいな手紙を書いて送って直訴をしましたところ、アーノルド知事からきちんとお返事が来ました。市長にも手紙を出しまして、“頑張って撮影しなさい”というお返事をいただきました。非常にありがたったですね。
――また、ダウンタウンを封鎖する許可が、9.11テロ以降のアメリカでよく取れたものですね。
そもそも、最初からムチャクチャなお願いだったのです。ダウンタウンを封鎖するうえに、戦車と装甲車を何10台も入れるわけですし、アメリカ映画でも史上初の規模のようなことを聞きました。ダウンタウンを封鎖することですら、これまで一度もなかった、ということです。しかし、私はなんとか自分の要求を押し通しました。
――それで無事に撮影がスタートしたと。ほかに、深刻なトラブルはなかったのでしょうか?
現地スタッフは私がアジア人ということで無視していて、気分がすごい悪かったんです。一時は現地スタッフごと入れ替えてしまおうかとも思いましたが、先ほどの“ロケーション・マネージャーのクビを切って、次に誰か担当する人間を探す”と言っていたら、ちゃんと仕事をしてくれるようになったのでよかったですよ(笑)。
『D-WARS ディー・ウォーズ』を見終わった後に、幸運が訪れると確信しています!
――やはり、『D-WARS
ディー・ウォーズ』の内容と同様に、そうとうにパワフルなお人ですね!
私はパワフルな人間ではありませんが(笑)、手紙を書いたときに1点、申し訳ないことをしてしまいました。戦車を使うとは書いたのですが(笑)、“銃を使う”とは書かなかったんです。でも、撮影が始まったら朝から晩まで銃を撃っていました。あまりにも音がうるさい銃で、建物のガラスが18枚も割れてしまったほどです。
――銃を使う”どころか、圧倒的な迫力で繰り広げられる大銃撃戦シーンがありましたよね?
撮影で使った銃は“キャリバー50”という銃で、野原で撃ってもかなり響きます。それを10数丁使って撃ったので、合計で約1,800発以上ですね。9.11テロ以来、ダウンタウンで銃を使うことは禁止されていたのですが、トータルしたら数万発ぐらいは撃ってしまったと思います。このことはアーノルド知事に申し訳なく思います。
――最後に、『D-WARS ディー・ウォーズ』を日本の映画ファンにアピールお願いします!
ゴジラもガメラも子どもの頃からすごいよく観ていて、大好きでした。ゴジラの影響を受けて撮ったのが『怪獣大決戦 ヤンガリー』(99)でした。日本の怪獣映画が好きなマニアの方にも、ぜひ今回の最新作を観ていただいて、応援していただきたいと思います。この映画は、見終わった後に必ずや幸運が訪れると確信しています。
シム・ヒョンレ(監督・脚本・製作総指揮)
1958年生。韓国TV界でコメディアンとして活躍した後、1984年から映画界に進出。俳優、脚本家、プロデューサーとして100本近くの作品に携わる。1992年の初監督作以降、最先端のCGと特殊効果を使ったSF映画を作りたいという情熱から、「Younggu Art」(ヨングアート)を設立する。独自でデザイン、ミニチュア、モデリング、美術、VFX技術を蓄積して、1999年にはアメリカとの合作で、待望の『怪獣大決戦 ヤンガリー』を完成させた。
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