人気作家・本多孝好のベストセラー短編小説を映画化した『イエスタデイズ』が公開中だ。余命わずかの父親に昔の恋人を探してほしいと頼まれた主人公が、不思議な体験を経て自分の人生を見出すファンタジー・ドラマ。本作で長編監督デビューを果たした新鋭・窪田崇監督に映画化への想いや本作にまつわるさまざまな話を聞く。(取材・構成・撮影/床板京平)

塚本(高史)君は主演としての意識を持たれている人で頼もしかったです

――『イエスタデイズ』は長編初監督作品だったそうですが、撮り終えた感想はいかがですか?

20代から映像の仕事を始めて8年になりますが、深夜TVドラマも映画スタイルで撮っていたので恵まれた環境だったんです。その延長線上的な感覚だったので、気持ちとしては変わらなかったですね。最長で70分間の映像の経験しかなかったので、苦労すると思っていましたが、無我夢中でやっているうちに終わってしまいました。

――主人公の聡史を演じる塚本高史君が光っていますが、一緒に仕事をしてみていかがでしたか?

主演としての意識を持たれている人で、頼もしかったですよ。自分のプランもある。僕たち撮り手に自分のイメージを伝える、現場を引っ張る意識もありました。主役ってそうあるべきかもしれないですね。現場も盛り上げてもらいました。1回台本を読めば全部覚えてしまうそうですけど、頭いいですよね(笑)。

国民的アイドルがいた時代の、ホイチョイ・プロダクションズみたいな映画が撮ってみたい(笑)

――窪田監督は31歳と年齢的にお若いですが、映画との出会いはいつ頃だったのでしょうか?

高校生の頃にWOWOWで映画を観たのがきっかけで、放送されていた作品はとりあえず観ていました。映画の途中からでも観ていて、タイトルすら気にせずひたすら観るという感じでしたね。ただ、映画監督さんやライターさんのなかには詳しい人がたくさんいるので、映画を観まくったといってもついていけないときがあります。

――ファンタジックな『イエスタデイズ』も素敵ですが、そのほかどんなジャンルが好みですか?

僕は昔でいうアイドル映画も大好きなので、いつかそういう映画を撮りたいとは思っています。いまのアイドル映画の概念とは違うかもしれませんが、国民的アイドルがいた時代の、ホイチョイ・プロダクションズみたいな映画も撮ってみたい(笑)。

 

人間そのものを撮りたいので、いろんなジャンルに挑戦したい

――『イエスタデイズ』で長編初監督を経て、今後映画で扱ってみたい題材はありますか?

基本的に人間ドラマを描いていきたいですし、人間そのものを撮りたいので、いろんなジャンルに挑戦したいです。スピルバーグみたいに、ホラー、アクション、何でもトライしてみたい。ただ、どんなものを撮るにしても人間を撮るということは同じで、裏と表、恍惚と不安のような揺れ動くものをきちっと捉えていきたいです。

――最後になりますが、『イエスタデイズ』をご覧になる方々へ一言お願いいたします。

映画って永遠に映像として残ってしまうものじゃないですか。だから、絶えず繰り返し観ることができる状態のクオリティーというか、自分たちが全力を出し切ったもの、心底納得できるものを作っていきたいと思います。まずは『イエスタデイズ』をご覧いただいて、今後も応援していただけたらと思います。

 

窪田崇(映画監督)

1977年生。広島県出身。2001年、フジテレビの深夜番組でショートフィルムを発表し、弱冠23歳で監督デビューを果たす。その後、蒼井優主演の『MEMOIR』(03)、忍成修吾主演の『きみの秘密、僕のこころ』(04)などのショートフィルム、TVドラマ、スガシカオの「JUNE」などPV、NTT DoCoMoのCMなど多方面で活躍。2006年には中編の『ハミングライフ』を発表。その年の東京国際映画祭で特別上映される。近作に、Yuming Film Projectの短編『リフレインが叫んでる』を始め、Mr.Childrenの「ひびき」、SEAMOの「MOTHER」のミュージッククリップなどを監督。異彩の若手映像作家として話題を呼ぶ。『イエスタデイズ』が満を持しての長編監督デビューとなる。

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作品紹介

『イエスタデイズ』

監督:窪田崇
脚本:清水友佳子
原作:本多孝好
出演:塚本高史、國村隼、和田聰宏、原田夏希

配給:エスピーオー